抄録
症例は48歳,女性.主訴は左側胸部の疼痛および腫脹.胸部CTにて左側胸壁に肋骨破壊を伴う長径7cmの腫瘤を認め,201Tlシンチで腫瘍に一致した強い集積を認めた.経皮的針生検では確定診断が得られず腫瘍の急速増大を認め,胸壁限局性であったため手術を施行した.術中迅速組織診断にて悪性リンパ腫が疑われ胸壁腫瘍・胸壁合併切除術及び胸壁再建術を施行した.術後病理組織診断にて胸壁原発のdiffuse large B cell lymphoma, Ann Arbor病期 Stage IVXと診断され術後化学・放射線療法を施行した.治療より47ヵ月経過し再発なく経過観察中である.本症例は誘因となる基礎疾患を有さない稀な胸壁原発の悪性リンパ腫であり,手術を先行した集学的治療により寛解を得たので報告する.