抄録
肺に穿破した縦隔成熟型奇形腫の2症例を経験し,その病因,臨床像について文献的考察を加え報告する.症例1は19歳女性.前胸部痛で来院,胸部CTで径3cmの前縦隔腫瘍を指摘され成熟型奇形腫の診断で手術を行った.手術所見では腫瘍は右肺上葉と強固に癒着しており,上葉部分切除および心膜合併切除を伴う腫瘍切除術を行った.組織学的には腫瘍は豊富な膵組織を有する成熟型奇形腫で,肺実質内に穿破していた.症例2は35歳女性.右胸部痛と血痰で来院,胸部X線で右中肺野に腫瘤影を指摘され,胸部CT,MRIで前縦隔奇形腫が疑われた.術中所見では腫瘍は右肺に穿破しており中葉切除を伴う腫瘍切除術を施行した.組織学的診断で成熟型奇形腫の肺内穿破と診断した.本疾患は多彩な臨床症状を呈し,確定診断に苦慮することも多いが今回MRIが有用であった.