日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
右肺摘除術後補助化学療法中に発症した膿胸に対し胸腔鏡下膿胸腔掻爬術が有効であった肺癌の1例
松倉 規小阪 真二國澤 進
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2007 年 21 巻 4 号 p. 595-598

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抄録
症例は53歳,男性.右肺癌にて紹介され入院した.術前導入放射線化学療法後に右肺摘除術を行った.病理病期はpT2N0M0であった.Cisplatinを含む術後補助化学療法を開始したところ,発熱,右胸水増加,白血球・好中球減少を認め入院した.胸水からペニシリン耐性肺炎球菌が検出された.気管支瘻の所見は無く,肺癌化学療法の副作用である好中球減少状態における右肺摘除術後膿胸と考えられた.胸腔ドレナージ,胸腔洗浄,抗生剤・G-CSF投与に引き続き胸腔鏡下膿胸腔掻爬術を実施し,胸腔ドレーンは挿入せずに一期的に閉創した.筋肉弁等の充填は行わなかった.4ヵ月後の現在,肺癌,膿胸とも再発はない.肺癌術後補助化学療法を行う際には易感染状態における合併症に注意を要する.肺摘除術後膿胸でも無瘻性の場合には胸腔鏡下膿胸腔掻爬術は有効な治療法となり得るものと考えられた.
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