抄録
乳腺悪性葉状腫瘍術後肺転移に対して肺切除を行った2例を経験した.症例1は55歳女性.左乳腺悪性葉状腫瘍に対する乳房切除3ヵ月後の多発肺転移に対して左肺下葉切除術を施行した.1ヵ月後左胸壁に局所再発を認め腫瘍切除と放射線治療50Gyを施行,その3ヵ月後に肝円索転移巣を切除した.初回肺転移切除後3年新たな転移はなく生存中である.症例2は56歳,女性.右乳腺悪性葉状腫瘍に対する乳房切除8ヵ月後の単発肺転移に対して左肺上葉部分切除術を施行した.6ヵ月後単発右肺転移に対して右肺上葉部分切除,その1ヵ月後脳転移巣の切除を施行した.左肩皮下転移も認め切除を予定していたが小腸転移による腸閉塞が出現,小腸切除を施行するも初回肺転移切除後9ヵ月で死亡した.乳腺悪性葉状腫瘍術後再発例の中には肺も含めた転移巣の反復完全切除により長期予後が期待できる症例が存在する.