日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺実質切除を伴わない気管支形成術を施行した気管支低悪性度腫瘍の3手術例
宮内 善広小池 輝明大和 靖吉谷 克雄
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2008 年 22 巻 6 号 p. 957-962

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抄録

気管支原発の低悪性度腫瘍に対し肺実質切除を伴わない気管支形成術を施行した3例につき検討した.症例は20~47歳の男性2例,女性1例で,0~I次気管支に発生した気管支カルチノイド2例と,粘表皮癌1例に肺実質切除を回避した気管支形成術で完全切除が可能であった.3例ともに術後重篤な合併症は認めず,また術後1年6ヵ月から15年経過し,再発なく健在である.術後早期の呼吸機能検査では,術前値を100%として比較すると3例平均で肺活量が18%,1秒量が45%,1秒率%が22%術後値の方が改善しており,FVカーブについても特に吸息時に尖鋭化し正常に近い形となった.本術式は適応を選べば,QOLを維持し根治性を損なわない術式と考えられた.

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