抄録
胸壁腫瘍の胸腔鏡下3切除例を検討した.画像所見では,2例はCT上腫瘍辺縁明瞭平滑・立ち上がり明瞭で,1例はこの逆であった.前者は胸膜を切開し,直下に腫瘤の被膜を認めた.後者は胸膜直下に厚い筋層を認め,筋層の下に腫瘤を認めた.前者は胸膜直下の発生で,これに対し後者は肋間筋内の発生で,比較的珍しいものと思われた.両者ともに胸腔鏡下摘出が可能であるが,筋肉内発生例は,術中の視野が悪いので,手技に慎重さを要し,胸壁側からのアプローチも,選択枝の1つになり得るものと思われた.画像所見を検討した上で慎重に術式を選択すべきと思われる.