抄録
症例は肺気腫による慢性呼吸不全のため在宅酸素療法中の81歳の男性で,繰り返す左自然気胸に対しOK-432による胸膜癒着術を行ったが不成功であったため,手術目的にて当科紹介となった.開胸手術が懸念される程の低肺機能症例であったが,術中PCPS(Percutaneous Cardiopulmonary Support):V-V bypass(Veno-veno bypass)を使用し,安全に手術を完遂することができた.またヘパリンコーティングされた回路を用いることで,ACT値を低く設定することができ,止血に難渋することもなかった.ヘパリンコーティング回路を用いたPCPSは低肺機能症例の手術において有用な呼吸補助手段であると思われた.