日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
ラブドイド形質を伴う肺大細胞癌の一例
近石 泰弘井上 政昭宗 哲哉川口 誠福岡 順也安元 公正
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2009 年 23 巻 2 号 p. 183-189

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抄録
症例は49歳,男性.主訴は血痰,背部痛.胸部CTにて左肺S9~10に6cm大の腫瘤を認め経気管支肺生検にて左肺癌と診断.また,腹部CTにて小腸腫瘍による消化管閉塞を認めたため小腸部分切除を施行.病理組織検査にてラブドイド形質を伴う大細胞癌であり,肺癌からの転移と診断された.小腸切除後,術後補助化学療法を施行したが効果なく,術後37日目に癌性腹膜炎にて死亡した.ラブドイド形質を伴う肺大細胞癌は1999年のWHO肺胸膜腫瘍の組織型分類より新たに大細胞癌の特殊型に加えられ,大細胞癌の約10%に認められる比較的稀な亜型であり,進行が早く予後不良で知られている.また,肺癌の小腸転移は比較的稀であるが大細胞癌を含めた未分化癌など悪性度の高い肺癌からの転移が多く外科的切除を施行しても予後不良なことが多い.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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