日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
診断に苦慮した肺放線菌症の1症例
池田 浩太郎林 明宏冨満 信二
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 23 巻 4 号 p. 598-601

詳細
抄録

診断に苦慮した肺放線菌症の1症例を報告する.患者は70歳代の男性.2006年の検診にて胸部異常陰影を指摘された.咳嗽,血痰など自覚症状は認めなかった.胸部単純X線写真において右中肺野に約3cmの淡い腫瘤影を認め,前医での胸部CTにて右中葉に径3.5cm大の腫瘤を認め,さらに気管支内視鏡,細胞診も施行されたが確定診断に至らず,開胸生検,手術目的で当院紹介となった.FDG-PET検査では,右肺中葉の腫瘤に一致して高集積を認め,さらにSUV値が遅延像で増加する悪性のパターンを示し,右中葉の原発性肺癌が疑われた.胸腔鏡補助下に小開胸を行い,病巣の針生検を施行し,術中迅速病理検査へ提出した.非腫瘍性病変,感染性病変との診断であったが,病巣の完全切除を行うため,中葉切除を施行した.病理組織検査において放線菌の菌塊と肉芽組織を認め,肺放線菌症と診断とされた.

著者関連情報
© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top