日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
開胸術後の骨性胸郭の離開を伴った創哆開例の検討
加藤 靖文中山 治彦伊藤 宏之坪井 正博池田 徳彦
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 23 巻 4 号 p. 647-652

詳細
抄録

創哆開の原因にsurgical site infection:SSIがあることは周知であるが,SSI以外にも創哆開が発生することがある.SSIに起因しない骨性胸郭離開を伴う創哆開を3例経験したのでその原因を検討した.症例1:糖尿病合併例で胸壁腫瘍摘出後28日目に開胸創が全層に渡り哆開した.症例2:full doseの放射線化学療法(CRT)後で左上葉切除後13日目に著明な肺瘻を発症,手術で開胸創哆開が判明した.症例3:full dose CRT後の左下葉切除後17日目に肺瘻を発症,開胸創哆開が判明した.全例に創傷治癒遷延因子(糖尿病,CRT後)があり,全例に吸収糸を用いたZ縫合で閉胸していた.糸の切断を検討すると糸の交叉部位に切断機転が働くことが判明した.糸が切断,肋間が開き,開胸部位に癒着した肺が裂傷を起こし,肺瘻が生じたと思われた.対策は,Z縫合をやめ4針以上の単結紮で骨性胸郭を閉胸することにしてから,これらの創哆開は起こっていない.

著者関連情報
© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top