2009 年 23 巻 5 号 p. 699-702
症例は55歳男性で,近医にて胸部異常陰影を指摘された.当院の胸部CTにて,右S6に最大径約3cmの腫瘤陰影,右S3に辺縁整な結節陰影と不整形の腫瘤陰影を認めた.FDG-PETでは,右S6の結節に極めて強い集積を認め,右S3の不整形の腫瘤陰影に淡い集積を認めた.辺縁整な結節陰影に集積を認めなかった.そのために右下葉切除術兼リンパ節郭清術(ND2a)および右上葉部分切除術を施行した.右S6の腫瘤は扁平上皮癌であったが,右S3の辺縁整な結節陰影はDirofilariasisで,不整形の腫瘤陰影は器質化肺炎であった.フィラリアは胸部CTで円形陰影として認めることが多い.そのため,孤立性の腫瘤陰影を認めた場合,悪性疾患の他に肺犬糸状虫症も念頭に入れていかなければならない.