Micropapillary patternを認めた末梢小型肺腺癌の一切除例

抄録

以前よりmicropapillary patternは乳癌，卵巣癌，膀胱癌などで予後不良因子として認識され，近年，肺癌でも報告が相次いでいる．今回我々は，リンパ節転移をきたした末梢小型肺腺癌の1例を経験した．症例は52歳男性．胸部CT上，左S³領域に約15mmの辺縁不整な胸膜陥入，spiculaを伴った結節を認めた．術前診断で左肺腺癌，cT1N0M0：stage IAであり，左上葉切除ND2aを施行した．組織学的所見では，線維血管間質を欠くmicropapillary patternを示していた．免疫組織学的所見では，TTF-1（＋），CK7（＋），SP-A（＋），CK20（－）であり原発性肺癌と診断した．肺内・縦隔リンパ節に転移を認め，病理診断はpT1N2M0：stage IIIAであった．小型の肺結節でも，本疾患のような組織型の存在も念頭におき，迅速な診断が望まれる．