縦隔に発生した巨大リンパ管腫(Lymphangioma)の1例を経験した.症例は33歳女性.心タンポナーデ,多発性肝嚢胞,脳動静脈奇形など多彩な既往歴を有していた.胸部異常陰影を指摘され当科紹介となった.画像検査上,腫瘍は増大傾向を示し,前縦隔を中心に上行大動脈,肺動脈などに広範囲に接する腫瘤であり,不均一な造影効果も認めた.生検を行うも診断が得られず,開胸手術による腫瘍摘出術を行った.病理組織診断は海綿状リンパ管腫であった.成人の縦隔リンパ管腫は極めて稀な疾患であり,術前に診断を確定させることは極めて困難であると考えられる.