2009 年 23 巻 5 号 p. 731-734
症例は74歳男性.胃癌に対し幽門側胃切除術を施行7年後,残胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)にて残胃全摘術を施行した.病理組織学的所見でc-kit,CD34陽性の高リスクGISTと診断された.術後5年7ヵ月目に左胸膜腫瘍を指摘され,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は正常の壁側胸膜に覆われ,病理組織学的検査でc-kit,CD34陽性であり,胃GISTの胸壁転移と診断された.胃GISTの主な転移部位は肝,腹膜であり胸壁転移の報告例はない.今回われわれは胃GIST術後に胸壁転移をきたした極めて稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.