日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
経過中増大後に縮小した縦隔気管支原性嚢胞の1例
永廣 格
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2009 年 23 巻 5 号 p. 735-739

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抄録

症例は49歳男性.2006年8月,咳嗽を主訴に近医を受診し縦隔気管支原性嚢胞と診断され経過観察されていた.2007年4月24日,前胸部鈍痛を自覚,胸部X線で腫瘍の増大を認め加療目的で当科紹介となった.胸部CT上気管分岐部から右主気管支にかけて5×3.5cmの嚢胞を認めた.この時WBC 10100/μL,CRP 0.35mg/dlと軽度の炎症所見を認め,CA 19-9は91.1U/Lであった.同年5月21日に手術目的で入院したが術直前の胸部X線で腫瘍の縮小を認めた.この時WBC 4800/μL,CRP 0.01mg/dl,CA19-9 326.1U/Lであった.右開胸で嚢胞を切除した.嚢胞内容液は白色クリーム状で細菌培養は陰性であった.術後1ヵ月のCA19-9は58.6U/Lであった.腫瘍の急速な増大は嚢胞内感染などの炎症に伴う浸出液増加により生じ,その改善によって腫瘍が縮小したと考えられた.

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