日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺切除後,急速に増悪した食道裂孔ヘルニアによる呼吸・循環不全に対し,ヘルニア根治術を施行し救命し得た1例
岡田 真典田尾 裕之山根 正修大藤 剛宏佐野 由文豊岡 伸一
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2009 年 23 巻 6 号 p. 881-885

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抄録
症例は74歳女性で,数年前より逆流性食道炎に対する治療を受けていた.咳嗽を契機に発見された肺癌に対する右上葉切除術後,喘鳴を伴う呼吸苦および心房粗細動を認め,急速に呼吸・循環不全に陥った.胸部CTで左胸腔内に滑脱し,拡張した胃による心肺の圧迫を認めたため,ヘルニア根治術を施行した.術後,呼吸・循環動態は速やかに改善した.食道裂孔ヘルニアを有する症例では,胸部手術後に食道裂孔ヘルニアが悪化し,呼吸・循環に重大な影響を与える可能性のあることを認識しておく必要がある.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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