抄録
症例は59歳の男性.2年前より間質性肺炎の疑いが指摘されていたため当院紹介となった.胸部CTでは,両肺野に広範囲な間質性変化をきたし,辺縁不整な小結節影が両肺野末梢の胸膜直下に9個存在していた.結節の確定診断のため胸腔鏡下肺生検を行った.左下葉の腫瘤を触知確認し楔状切除を行った.肺の実質内にみられる腫瘍様病変は,炭粉沈着を伴う反応性の腫大を示すリンパ節であった.術後1年の時点で間質性肺炎の増悪はあるものの,小結節の増大傾向はない.多発性肺内リンパ節の成因は,肺野末梢に微小な肺内リンパ節が多発している状態において,炎症の影響を受けることによって反応性腫大した結果であると考えられた.またリンパ節周囲の炎症などのためリンパ節の辺縁が不整で転移性肺腫瘍との鑑別が困難な場合は肺生検を行うべきであると考えられた.