日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
甲状腺機能亢進症を伴った巨大胸腺脂肪腫の1例
伊藤 祥隆田中 伸佳金泉 秀典海崎 泰治
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2009 年 23 巻 7 号 p. 955-958

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抄録
症例は53歳,女性.2008年6月に手指振戦を主訴に当院を受診し甲状腺機能亢進症と診断,術前精査中に胸部異常陰影を指摘された.生化学検査ではFT3,FT4,TRAbの高値とTSHの低下を認めた.胸部CT検査では前縦隔から右側にかけて右胸腔の約1/3を圧排するφ15×13cmで脂肪濃度の腫瘤性病変を認めた.また腫瘤内部は造影MRI検査にてT1強調画像,T2強調画像のいずれでも高信号であった.以上より甲状腺機能亢進症および縦隔脂肪腫と診断し,薬剤投与による甲状腺機能の安定化を得た後に手術を行った.胸骨正中切開アプローチにて胸腺から有茎状に発育した児頭大の腫瘍を摘出した.同時に甲状腺亜全摘術も行った.切除標本は28×16cmで1,050gあり,大部分が成熟脂肪細胞から成る病変であったが,部分的に胸腺組織が含まれており胸腺脂肪腫と診断した.術後経過は良好で術後13病日に退院した.
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