日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺転移後に未分化転化しG-CSF,GM-CSFを産生した甲状腺癌の1例
橋本 章太郎上村 亮介森本 真人良河 光一覚道 健一白 艶花
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2009 年 23 巻 7 号 p. 959-963

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抄録
症例は58歳女性.27歳時に甲状腺腫摘出手術を施行した.47歳時に甲状腺乳頭癌にて甲状腺全摘,転移性肺腫瘤にて肺部分切除を行ったが肺腫瘤は低分化腺癌であった.52歳時に両側肺腫瘤に対し肺部分切除を再度施行した.今回は右上肺野の結節影と右上縦隔リンパ節が急速に増大してきたため右肺上葉切除術およびリンパ節郭清術を行った.組織型は未分化癌であった.退院1週間後に疼痛の増悪,呼吸苦にて再入院した.胸部CTにて縦隔リンパ節の著明な腫大による気管・気管支,上下大静脈の圧迫を認めた.入院時に高値であった末梢血白血球数は好中球,好酸球を中心に増加し続け136,000/μlに達した.末梢血中G-CSF,GM-CSFは異常高値を示した.化学療法,放射線療法をおこなったが奏効せず,上下大静脈圧迫による静脈還流不全にて再入院後3週間で死亡した.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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