抄録
症例は59歳男性,胸部CTで右S8に最大径3.0cmの腫瘤性病変と右S2に最大径1.0cmの小結節を認めた.右S8の腫瘤は右肺癌と診断した.肺内転移疑いのS2の小結節は確定診断に至らず,それに対し胸腔鏡下肺部分切除術を行い,術中細胞診で悪性所見がなかったため,右下葉切除術(ND2a)を施行した.術後病理所見ではS8の腫瘤は右肺癌(中分化型腺癌)p-T1N0M0 stage I A,S2の病変は肺クリプトコッカス症の診断であった.炎症か癌かを術前に区別できない病巣を伴う肺癌に対しては外科的生検による鑑別が必要である.