理科教育学研究
Online ISSN : 2187-509X
Print ISSN : 1345-2614
ISSN-L : 1345-2614
原著論文
モーターの原理と関連付けて電流が磁界から力を受けることを理解する教材の開発
―フィリピンサイエンスハイスクールにおける試行授業による授業評価―
榊原 保志前野 十行喜多 雅一
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 61 巻 2 号 p. 277-286

詳細
抄録

電流,磁界,力の向きの関係の理解度は低く,モーターの回る仕組みを理解できている生徒も多くない。教科書では電気ブランコという教材が電流,磁界,力の向きの関係を再現する実験が用いられている。そして,ものづくり教材としてコイル(クリップ)モーターが紹介されている。この教材はコイルが回転することで生徒の関心を高めるが,コイル部分がエナメル線を何度も巻いているため電流の流れが視覚的にわかりにくい。そのため,モーターが回転する科学的原理や法則について実感を伴った理解の向上を促しにくい教材であった。本研究では,電気ブランコ型モーターの教材を開発した。実験観察を通した探究的学習に課題があるフィリピンの中等学校において,本教材と爪楊枝と粘土を利用した電流,磁界,力の向きのモデルを利用した授業を通して,本教材の有効性を調べた。その結果,以下の4点が明らかになった。1)本授業は電流の向きや磁界の向きの理解に有効であった。2)授業は生徒にとって楽しい授業であり,授業の難度は不適切ではなく,考えさせるタイプの授業であった。3)本教材は磁界の中の電流に働く力の向きの理解に有効であった。4)本教材はモーターが回転し続ける理由を理解させるのに役立った。

著者関連情報
© 2020 日本理科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top