抄録
近年,急性膿胸に対して,胸腔鏡下ドレナージ術の有用性が報告されているが手術適応に関しては明らかではない.そこで当院で治療した急性膿胸について,手術群(7例),ドレナージ群(6例),抗生剤治療群(9例)に分け,画像所見・ドレナージ期間・入院期間からその治療方針に関してretrospectiveに検討した.抗生剤治療群では,全例において胸部単純X線で胸水容積比率が1/4以下であった.CT所見で多房化した5例は全例手術を行った.ドレナージ期間では,手術群がドレナージ群よりも有意に短期間であった.入院期間ではドレナージ群が他の2群に比し有意に長期であった.胸部単純X線にて胸水容積比率が1/4以下の症例は,抗生剤による保存的適応の目安になると考える.CTで多房化を認める症例は手術適応があり,胸腔ドレナージを必要とする症例は治癒しても長期の入院となるため,手術を考慮することが望ましいと考える.