抄録
症例は35歳男性.検診の胸部X線写真にて異常を指摘され,他院を受診し胸部CTにて左肺門に約35mmの腫瘤が発見された.超音波気管支内視鏡下生検を施行するも悪性所見は得られず経過観察となっていたが,FDG-PETにて同部位に軽度集積を認め(SUVmax 2.63),悪性腫瘍も否定できないため当院に紹介された.Castleman病,肺カルチノイド,悪性リンパ腫,炎症性偽腫瘍などを疑い手術を施行した.術中迅速病理診断は,明らかな悪性所見を認めず,リンパ増殖性疾患と診断されたため,腫瘍切除術を施行した.最終病理診断はCastleman病であった.肺門部の孤立性腫瘤の鑑別は困難な場合が少なくないが,縦隔に次いで肺門リンパ節はCastleman病の好発部位であるため,当疾患も念頭に置く必要があると思われた.