抄録
症例は60歳男性.肺転移と肝転移を伴う進行大腸癌に対して化学療法を行っている際に,労作時の呼吸困難を認め当科紹介となった.気管支鏡検査において,左主気管支にポリープ状の腫瘍を認め,左主気管支は殆ど閉塞していた.生検にて大腸癌の転移性腫瘍と診断した.気道狭窄症状を認めたために,気管支鏡下にNd-YAGレーザーおよび高周波スネアにて腫瘍切除した.合併症はなく,左主気管支の狭窄と自覚症状は著明に改善した.大腸癌の気管支転移は非常に稀であるが,転移検索時には念頭におく必要があり,他に転移巣が存在し,根治が不能と判断した場合においても,気道確保目的の気管支鏡下治療は有効性が高い.