日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
気管支内腔へ腫瘍実質成分の発育をきたした縦隔成熟型奇形腫の1切除例
五十嵐 知之花岡 淳井上 修平大内 政嗣尾崎 良智手塚 則明
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2011 年 25 巻 2 号 p. 214-219

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抄録
症例は37歳,女性.9ヵ月前より徐々に増悪する咳嗽を放置していたが,健康診断で胸部異常陰影を指摘され受診した.胸部CTで左上葉から前縦隔に連続する腫瘤影が認められ,気管支鏡検査を施行したが確定診断には至らなかった.当科紹介後に再度気管支鏡検査所見を確認したところ,左B3よりポリープ状に突出する白髪を伴った腫瘤を認め,肺穿破を合併した縦隔奇形腫を疑った.左経胸腔アプローチで左肺上葉部分切除術および縦隔腫瘍摘出術を施行,術後病理検査で確定診断を得た.術後経過は良好で現在も再発を認めていない.本症例は肺穿破合併後に腫瘍実質成分が気管支内腔へ侵入し発育する興味ある進展形式を示した縦隔成熟型奇形腫症例であった.
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