抄録
肺活量や1秒量の対標準値を計算する際,BaldwinやBerglundの式などの欧米人を対象とした正常予測式がわが国でも広く用いられている.一方日本呼吸器学会肺生理専門委員会は2001年に日本人の正常予測式を提示している.今回実際の切除症例を用いて二つの方法で術後予測呼吸機能を比較してみたところ,肺活量も1秒量も日本人の正常予測式で算出した方が有意差をもって低く算出された.今後,標準式として日本人の正常予測式が導入されていく場合,従来よりも術後予測値が少なく計算されることを考慮して手術適応を検討する必要がある.