日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
腎細胞癌手術既往がある肺原発淡明細胞腫の1例
元石 充片岡 瑛子大塩 麻友美澤井 聡榎堀 徹五十嵐 知之
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 26 巻 2 号 p. 171-174

詳細
抄録
症例は乳癌・胃癌・腎癌の既往のある75歳女性.胸部CTで右肺下葉に異常陰影を認めるとのことで当科に紹介となった.胸部CTで右S8に8mm大の小結節影を認めた.retrospectiveにみると3年前の胸部CTで同部に3mm大の結節影を,2年前の胸部CTで4mm大の結節影を認めていた.増大傾向を認めており転移性肺腫瘍を疑われたため手術を行った.術中迅速組織診で腎癌肺転移と診断された.術後永久標本において豊富な淡明細胞質を有する細胞が薄壁性の類洞様血管を伴ってシート状に配列しており,免疫染色ではPAS・MelanA陽性,CD10・HMB45陰性であり淡明細胞腫と診断された.肺原発淡明細胞腫は比較的稀な腫瘍である.腎細胞癌肺転移との鑑別を要するが実際に腎細胞癌の既往を有する症例の報告は我々が検索した限り認められなかった.本症例の経過を若干の文献的考察を加えて報告する.
著者関連情報
© 2012 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top