日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺原発リンパ上皮腫様癌の一例
今村 史人稲垣 雅春
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2012 年 26 巻 5 号 p. 524-528

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抄録

60歳女性.2001年の検診の胸部単純X線写真で胸部異常陰影を指摘され,胸部CTにて,右肺中葉末梢に4×3 cmの腫瘤を認めた.気管支鏡下生検にて,未分化な原発性肺癌が疑われ,手術目的に当科入院となった.右肺中葉切除術,ND2aリンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見では,腫瘍細胞は比較的大型で細胞境界は不鮮明であり,未分化で不規則な胞巣形成と周囲の間質に著明なリンパ球浸潤を認め,肺原発リンパ上皮腫様癌(Lymphoepithelioma-like carcinoma:LELC)と診断した.またEBV-encoded RNA in situ hybridization(EBER-ISH)は陽性であり,Epstein-Barr virus(EBV)感染の関与が示唆された.免疫染色では,EBNA2,LMP-1は陰性であった.術後2年目にCTで右主気管支周囲リンパ節の増大を認め,再発と診断した.放射線療法後,カルボプラチン・パクリタキセル併用化学療法を2クール施行し,CRを得た.その後リンパ節の増大は認めず,現在術後10年生存中である.

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