日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
高分子insulin-like growth factor-II産生性孤立性線維性腫瘍の1例
原田 亜矢中村 好宏永田 俊行大塚 綱志酒瀬川 浩一佐藤 雅美
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 26 巻 5 号 p. 536-541

詳細
抄録

低血糖発作を契機に孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)が発見され,手術で軽快した1例を経験したので報告する.症例は54歳の女性.朝起床時に意識消失発作と言語障害があり,精査で低血糖と左胸腔内に最大径23×14×9 cmの腫瘤を認め,CTガイド下針生検でSFTと診断された.血中インスリン,C-ペプチドは低下し,下垂体と副腎機能は基準値内であり,低血糖は腫瘍随伴症状と考えられ,腫瘍摘出術を行った.術後,血糖値は安定した.また術前の採血検体から高分子のインスリン様成長因子-II(insulin-like growth factor - II:IGF-II)が検出され,免疫染色でIGF-II陽性であったことから,低血糖はSFTが産生した高分子IGF-IIによるものと考えられた.術後1年経過時点で低血糖症状や再発徴候は認めていない.

著者関連情報
© 2012 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top