日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺原発リンパ上皮腫様癌の1例
新居 和人岡本 卓中島 尊渋谷 祐一岡林 孝弘
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2012 年 26 巻 5 号 p. 547-552

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抄録

肺原発リンパ上皮腫様癌(lymphoepithelioma-like carcinoma:LELC)は,大細胞癌の特殊型に分類される比較的稀な肺癌である.
症例は73歳,男性.他疾患の検査中,胸部CTにて右上葉S1領域に10 mm大の結節影を認めた.数回の経気管支肺生検(TBLB)やCTガイド下生検では確定診断に至らず,胸腔鏡下右肺上葉部分切除術を施行した.術中迅速病理検査でも確定診断に至らず,術後の病理検査にて肺原発リンパ上皮腫様癌(T1N2M0, stage IIIA)と診断した.腫瘍組織のEBER in situ hybridizationは陰性であり,Epstein-Barr virus(EBV)との関連は認められなかった.化学療法を施行したが奏功なく,全身転移のため治療開始後1年で癌死した.術前・術中の病理検査で確定診断に至らず,肺部分切除で診断に至ったLELCを報告した.化学療法の効果は認めなかった.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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