日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
体表から触知された胸腺腫の2手術例
青木 耕平井上 慶明福田 祐樹儀賀 理暁江口 圭介中山 光男
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2012 年 26 巻 5 号 p. 553-558

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抄録

症例1:42歳女性.呼吸困難,胸部圧迫感を主訴に前医を受診し,当院を紹介受診した.左鎖骨上窩に腫瘤を触知し,CTで甲状腺左葉下極付近から縦隔上部にかけて腫瘤を認めた.針生検の結果,胸腺腫と診断され,胸腺胸腺腫摘出術を施行した.腫瘍は胸腺の左上極に発生した非浸潤型胸腺腫であった.症例2:40歳女性.心窩部痛およびHBV陽性を主訴に当院を紹介受診した.心窩部正中から左肋骨弓下に腫瘤を触知し,CTで左腹直筋背側に右室と肝左葉外側区を圧排する腫瘤を認めた.胸壁腫瘍の診断で手術を施行し,腫瘍とともに肋骨と腹直筋を合併切除した.術中迅速病理で胸腺腫と診断され,前縦隔下部発生の異所性胸腺腫と考えられた.被膜外浸潤を認めたため,放射線治療を追加した.頸部や上腹部など非典型的な部位に腫瘤を触知する場合でも胸腺腫を念頭に置く必要がある.

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