日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
巨大な縦隔内異所性甲状腺腫の一例
島松 晋一郎岡本 龍郎吉田 月久波呂 祥矢野 篤次郎前原 喜彦
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2013 年 27 巻 2 号 p. 175-180

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抄録

症例は53歳女性,主訴は咳嗽.胸部X線で左第2弓の拡大を認め,胸部CTにて前縦隔に12×8.5 cm大の不均一に造影される分葉状腫瘤影を認めた.甲状腺との明らかな連続性はなく,左腕頭静脈は腫瘍の圧排による狭小化・途絶が疑われた.FDG-PETで腫瘍内に不均一で淡い集積(SUVmax3.79)を認めた.血液検査ではサイログロブリンが481 ng/mlと高値であった.縦隔内甲状腺腫または胸腺腫を疑い前縦隔腫瘍摘出術(胸骨縦切開+左頸部襟状切開下)を施行した.腫瘍は被膜を有しており,周囲への浸潤を認めなかった.胸腺静脈が腫瘍に入り込んでおり,甲状腺との連続性は認めなかった.病理組織学的に腺腫様甲状腺腫の診断であり,胸腺内より発生した異所性甲状腺腫と判断した.縦隔発生の異所性甲状腺腫は比較的稀な疾患であり,文献的考察を含め報告する.

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