日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺癌手術部位感染の波及により化膿性椎体椎間板炎と脳膿瘍を来たした1例
神津 吉基馬庭 知弘大出 泰久河村 一郎村田 秀樹片桐 浩久
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2013 年 27 巻 2 号 p. 181-186

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抄録
69歳男性.肺腺癌に対し右下葉切除後に手術部位感染(Surgical Site Infection;SSI)を来たし術後2ヵ月で再縫合閉鎖とした.術後5ヵ月の胸部CTと頭部MRIで脊椎浸潤を伴う右胸壁再発と脳転移を疑う所見を認め内科的治療目的に入院となったが,入院3日後に38.3℃の発熱,白血球上昇,CRP上昇を来たし背部痛も出現した.血液培養とSSI再縫合部直下の穿刺培養から共にメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され,胸椎MRIではTh6/7椎間板を主座として,隣接椎体に波及するT2高信号域の病変を認めた.抗生剤治療単独で血液培養の陰転化と炎症反応の改善が得られ背部痛も軽快し,フォローの胸椎MRIでは椎間板病変の線維瘢痕化を,頭部MRIでは脳内病変の縮小を認めた.これらの所見から,SSIが胸壁および胸腔内感染を経て波及した化膿性椎体椎間板炎と血行性感染を経て波及した脳膿瘍と診断した.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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