日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
カルボプラチン,ペメトレキセド,ベバシズマブによる化学療法が奏効し完全切除可能であった肺腺癌の1例
宮原 栄治板垣 友子桑原 正樹亀田 彰
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2013 年 27 巻 7 号 p. 826-831

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抄録
症例は,61歳,男性,主訴は右胸部痛,胸部CTにて右上葉から中葉に胸膜に接する多数の腫瘤性病変を認めた.PET-CTにてSUVmax 13.9の集積を認め,経皮的針生検にて腺癌と診断した(EGFR遺伝子変異は陰性).右上葉原発の肺腺癌,中葉転移,cT4N0M0, cStage IIIAと診断し,カルボプラチン,ペメトレキセド,ベバシズマブ投与を6コース施行した.胸部CTにて腫瘍は縮小し,PET-CTにてSUVmax 3.0まで低下した.化学療法が著効し治癒切除が可能と判断した.化学療法後6週間後に右上葉切除,中葉部分切除,第2-5肋骨合併切除を行った.術後病理診断では右上葉のごく一部に2 mmのviableな腺癌を認めるものの,ほぼすべてが凝固壊死していた.Ef.3に近いEf.2と診断された.切除不能非小細胞肺癌に対しカルボプラチン,ペメトレキセド,ベバシズマブによる化学療法が奏効し治癒切除可能となった.
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