抄録
背景:肺原発リンパ上皮腫様癌(lymphoepithelioma-like carcinoma, LELC)は大細胞癌の特殊型に分類される稀な腫瘍で,Epstein-Barrウイルス感染が発症に関与するとされる.症例1:83歳女性.検診で胸部異常陰影を指摘された.CTで右上葉に19×19 mmの不定形腫瘍を認めた.気管支検査で低分化腺癌と診断,胸腔鏡下右上葉切除術を施行された.病理診断はLELC, EBER-1のin situ hybridization(ISH)は弱陽性であった.症例2:84歳男性.検診で胸部異常陰影を指摘された.左S6に22×20 mmの類円形腫瘍を認め,気管支鏡で大細胞癌と診断された.低肺機能にてS6区域切除術を施行された.病理診断はLELC, EBER-1のISHは陰性であった.症例1は術後29ヵ月,症例2は4ヵ月無再発生存中である.まとめ:高齢者のLELC症例を報告した.