2014 年 28 巻 1 号 p. 24-28
症例は50歳男性.左肺腺癌に対し左上葉切除,リンパ節郭清術を行い,混合型腺癌,pT1aN0M0 Stage IAと診断した.再発の兆候なく経過していたが,術後6年半以上経過した頃から左胸背部痛が出現した.X線検査では明らかな異常は認めなかった.しかし,痛みが徐々に増強したため,7年半経過した時点で胸部CTを行ったところ左第4肋間背側を中心に胸壁に浸潤する長径5 cm大の腫瘍を認め,CTガイド下生検で肺腺癌の再発と診断した.再発部位は肺癌術前に行ったCTガイド下生検針穿刺部位と一致し,他に遠隔転移を認めないことなどから,インプラントによる局所再発と診断し,第3~5肋骨を含む胸壁を切除した.腫瘍の胸膜播種や肺への浸潤はなく,胸壁の切除断端は陰性で術後経過も良好である.CTガイド下生検における生検針穿刺部位への再発は稀とされており報告する.