2014 年 28 巻 1 号 p. 44-48
症例は20歳,女性.大学健診の胸部レントゲン写真で右下肺野の異常陰影を指摘され近医を受診した.胸部CT検査で胸膜由来の腫瘍が疑われ当科紹介となった.1ヵ月後のCT再検で腫瘤は軽度に増大傾向であったが,PET-CT検査で有意な集積亢進を認めず,胸部MRI検査においても線維性腫瘍をはじめとした良性腫瘍が疑われた.術前画像検査における鑑別は困難であり,診断と治療を兼ねた手術を施行した.術中所見として腫瘤性病変は壁側胸膜側では有茎性,臓側胸膜側は広基性,数珠状に認めた.病理組織では線維性組織を背景に異型性に乏しい紡錘形細胞を認め,炎症細胞浸潤,砂粒状石灰化を伴っていた.免疫組織化学染色ではvimentinのみが陽性であった.以上より,胸膜発生のCalcifying Fibrous Tumor(以下,CFT)と診断した.胸膜発生CFTは胸腔内腫瘍の鑑別の一つとして念頭に置くべき疾患と考えられた.