日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
CA19-9上昇とFDG-PET高集積を認めた肺葉内肺分画症の一切除例
佐原 康太原田 匡彦比島 恒和高橋 祐介堀尾 裕俊
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 28 巻 6 号 p. 783-789

詳細
抄録

今回CA19-9上昇とPET/CTにおけるFDG高集積を認めた肺葉内肺分画症の一手術症例を経験した.症例は46歳女性.検診にて右下肺野の胸部異常陰影を指摘,CT上S7-10に楔状の充実性腫瘤影を認めた.血清CA19-9が64.1 U/mLと高値でPET/CTにて腫瘍に一致してSUVmax:4.3のFDG集積を認めたため肺癌疑いで精査加療目的に当科に紹介された.ダイナミックCTでは下行大動脈右側から肺靭帯経由で腫瘍に流入する異常動脈と,腫瘍から下肺静脈に潅流する異常静脈を認め,肺葉内肺分画症と診断した.胸腔鏡補助下右肺底区切除術を施行した.1ヵ月後の採血でCA19-9は12.7 U/mLと正常化した.肺分画症はCA19-9などの腫瘍マーカー上昇やPET/CTでのFDG高集積を伴うことがある.本疾患を疑ったダイナミックCTは肺癌との鑑別に有用であり,安全な術式選択にも寄与するものと思われた.

著者関連情報
© 2014 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top