日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
肺癌の術中胸膜浸潤診断の正確性についての検討
滝沢 宏光坪井 光弘梶浦 耕一郎鳥羽 博明中川 靖士川上 行奎吉田 光輝先山 正二近藤 和也森下 敦司河北 直也広瀬 敏幸
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キーワード: 肺癌, 胸膜浸潤, 術中診断
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2015 年 29 巻 5 号 p. 576-581

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抄録
腫瘍径2 cm以下であっても胸膜浸潤を有する症例は予後不良であり,縮小手術の適応についてコンセンサスは得られていない.術中所見で胸膜浸潤をどれだけ正確に診断できるのか検討した.呼吸器外科に所属する医師12名を対象に,臨床問題形式でデータを収集した.症例は胸膜変化を認めた肺癌手術症例30例で,平均年齢は66.8歳,男性14例,女性16例,平均腫瘍径は27 mm,組織型は腺癌22例,扁平上皮癌7例,その他1例で,pl0が22例,pl1以上が8例であった.回答者は①術前CT,②組織型,③胸膜変化を捉えている術中動画から胸膜浸潤なし(PL0),あり(PL1以上)を判断し,病理学的胸膜浸潤に対する感度,特異度,正診率を算出した.胸膜浸潤診断の感度66.7%,特異度61.4%,正診率62.8%であった.術中の胸膜浸潤診断の精度は高くないため,術式選択の基準に採用できる新たな診断法の開発が望まれる.
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