抄録
症例は右肺癌pT3N1M0 Stage IIIAにて右肺全摘術施行した69歳男性に発症した術後気管支断端瘻である.肋間筋弁による瘻孔閉鎖は奏功せず,開窓術を行った.1年の経過で瘻孔は長径3 cmまで開大し,直接縫合による断端の閉鎖は極めて困難であったため,遊離肋軟骨を用いた閉鎖術を考案した.有茎大網弁を作成した後,右第6肋軟骨弓から肋軟骨を採取した.醸膿膜を可及的に切除し,遊離肋軟骨を気管支断端に縫着し,胸郭形成術および大網充填術を行った.術後経過は良好で,術後11ヵ月で断端瘻の再発を認めていない.断面積の巨大な気管支断端瘻に対し,遊離肋軟骨を用いた閉鎖術は有効な方法の1つと考えられた.