抄録
症例は,46歳の女性.健診のCTで気胸を指摘されていたが,改善したため経過観察としていた.その後,月経周期に一致して胸背部痛が出現し,精査加療目的で当科紹介となった.経過より月経随伴性気胸を疑い,月経期に手術を行う予定であったが,患者の社会的背景を考慮し手術時期は月経黄体期となった.胸腔鏡下に手術を行った.中葉に壁の菲薄化した嚢胞を認め,横隔膜の腱中心付近に多数の孔があり,その近傍にblueberry-spotを疑う黒色変化領域を認めた.摘出した嚢胞病変と横隔膜には紡錘形間質細胞を認め,免疫染色でエストロゲン受容体陽性,プロゲステロン受容体陽性,CD10陽性を示した為,月経随伴性気胸と診断した.ホルモン療法を行い,半年後の現在,再発を認めていない.月経黄体期に手術を行ったため,摘出病変に子宮内膜組織は確認できなかったが,免疫染色が補助診断として有用であった.