日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
リンパ節転移を伴った肺硬化性血管腫の1例及び病理学的検討
尾嶋 紀洋宮原 佐弥杉山 茂樹梶原 博土岐 善紀芳村 直樹
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2016 年 30 巻 1 号 p. 57-63

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抄録
リンパ節転移を伴った肺硬化性血管腫の1例を報告する.38歳,男性.平成22年,検診で胸部異常陰影を指摘されるが放置していた.平成26年,再度異常陰影を指摘され近院を受診した.胸部CTでは左肺上葉に3.5 cm,境界明瞭な腫瘤を認めた.気管支鏡,CTガイド下生検では診断に至らず,手術目的に当院紹介受診した.同年9月,開胸下に手術を施行した.針生検,腫瘤核出術による術中病理迅速診断で肺腺癌と診断され,左肺上葉切除術+縦隔リンパ節郭清を施行した.永久病理標本にて肺硬化性血管腫及び#11リンパ節の転移と診断した.肺硬化性血管腫において,腫瘍径及びリンパ節径はリンパ節転移の有無の指標にならないと考えられる.主病巣の切除に肺区域切除や肺葉切除を要する場合,所属リンパ節の試験的郭清を検討し,肺部分切除を施行した場合には術後のリンパ節転移の可能性を念頭にフォローアップが必要と考えられる.
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