日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
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ISSN-L : 0919-0945
原著
呼吸器外科手術における術中Emergency症例の検討
橋本 昌樹近藤 展行中道 徹門司 祥子黒田 鮎美多久和 輝尚松本 成司長谷川 誠紀
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2016 年 30 巻 7 号 p. 794-799

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抄録

背景:当科が経験した術中に状態が急変した症例の検討を行った.対象:当院では術中に危機的状況に陥った時に麻酔医が「Emergency call(EC)」を発令し,他の手術室スタッフに応援依頼を行う.2007年4月より2015年3月までに当科で施行した全身麻酔手術2640例のうち,ECを必要とした11例の原因とECを回避できた可能性について検討した.結果:全11例の内訳は血圧低下5例,酸素化不良2例,不整脈4例であった.手術室内での死亡例は認めなかった.原因が手術手技によるものが8例,患者因子が3例であった.検討の結果,回避しえた可能性は8例に認めた.6例は手術手技に起因するもので,2例は患者情報や手術内容を術前に他のスタッフと共有しておれば回避できた可能性があった.まとめ:丁寧な手術手技を心がけることと患者情報を手術に関わる全スタッフで共有することが安全に手術を行う上で重要であると思われた.

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