日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
気胸,術後肺瘻,癌性胸水における50%ブドウ糖液を用いた胸膜癒着術の検討
東郷 威男羽隅 透星 史彦菊池 直彦岡田 克典齋藤 泰紀
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2016 年 30 巻 7 号 p. 800-805

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抄録

50%ブドウ糖液による胸膜癒着術を気胸,術後肺瘻,癌性胸水の症例に対し施行し,その有効性およびドレーン排液量,血糖値変動につき検討したので報告する.胸膜癒着術は胸腔内に50%ブドウ糖液200 ml(PS不良例は100 mlに減量)を投与して行った.対象症例は気胸14例,術後肺瘻11例,癌性胸水4例であった.糖尿病合併例が5例含まれていた.気胸は11例,術後肺瘻は9例で治療効果を認めた.癌性胸水は2例で胸水の制御が可能であった.ドレーン排液量は200 ml投与群より100 ml投与群において少ない傾向があり,100 ml投与群においても治療効果は得られた.糖尿病合併例で治療1時間後に有意な血糖値上昇を認めたが,それに伴う有害事象は認めなかった.以上より本法はドレーン排液過多に伴う体液喪失および血糖値上昇に留意する必要はあるものの認容可能な胸膜癒着術であることが示唆された.

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