日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
太い異常動脈の肺葉内肺分画症を胸腔鏡下切除した2例(特に左右の異常動脈の処理法について)
児玉 渉吹野 俊介大野 貴志
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2016 年 30 巻 7 号 p. 827-833

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抄録

右と左の下葉肺葉内肺分画症に対し,VATS肺葉切除術を行い良好な経過が得られ,太い異常動脈処理法とその断端について検討した.【症例1】54歳男性.胸部下行大動脈から分岐し,右肺下葉に流入する異常動脈を認めた.右下葉肺葉内肺分画症の診断となり,VATS右下葉切除術を行った.直径18 mmの異常動脈を下大静脈まで剥離し,異常動脈を中枢側からvessel tape,2号絹糸,1号絹糸の順に結紮し,最後に自動縫合器にて末梢を切離した.【症例2】27歳男性.左下葉肺葉内肺分画症にて,VATS左下葉切除術を行った.胸部下行大動脈の横隔膜付近より直径13 mmの異常動脈が左肺底区に流入しており,異常動脈処理は症例1と同様に行った.術後Dynamic CTで異常動脈断端は,ともに断端瘤の徴候はない.当院での異常動脈の処理法は,二重結紮と自動縫合器で行い,安全性確実性が確保できていると考えられる.

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