2016 年 30 巻 7 号 p. 840-844
重傷の胸骨骨折2例に対しプレートを用いた胸骨固定術を行い,良好な結果を得たので報告する.症例1は,52歳,男性.交通事故にて受傷.胸骨骨折とそれに関連するフレイルチェスト,呼吸不全のため人工呼吸管理となった.しかし,呼吸状態が改善しなかったため,胸骨骨折に対しプレート固定術を行った.その結果,早期に人工呼吸器から離脱することができた.症例2は42歳,男性.転落により受傷.胸骨骨折の転位が大きく,偽関節,慢性疼痛,運動制限などの後遺症が懸念されたため,同様に固定術を行った.術後は経過良好で,懸念された後遺症無く社会復帰することができた.胸骨骨折が呼吸不全に関与する場合や転位が大きく後遺症が懸念される場合には,積極的に胸骨固定術を検討すべきであり,プレート固定術は有用と考える.