日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
自覚症状にて発見され自然縮小した胸腺腫の2例
安川 元章川口 剛史河合 紀和東条 尚
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キーワード: 胸腺腫, 自然縮小
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2017 年 31 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

今回,自覚症状にて発見され,自然縮小した胸腺腫の2例を経験したので報告する.症例1は71歳女性.胸痛,発熱を主訴に前医を受診し,胸部CT検査で前縦隔に径8×10 cm大の腫瘍と,心囊液および両側胸水の貯留を認めたため,当科紹介となった.自覚症状出現後,1ヵ月で手術となったが,術直前のCT検査では,腫瘍は径6.5×7.5 cmと縮小し,心囊液および両側胸水は消失していた.症例2は59歳女性.前医で肺炎にて加療後,咳嗽が遷延していた.胸部CT検査で前縦隔に径6×2 cmの腫瘍が認められたため当科紹介となった.肺炎発症後6ヵ月後に手術となったが,術直前のCT検査で腫瘍は径5×1 cmと縮小を認めた.いずれの症例も摘出術を施行し,病理組織検査で胸腺腫の診断であった.腫瘍内部に壊死像を認め,胸腺腫の自然縮小と壊死には関連があると考えられた.

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