日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
極めて稀な縦隔型A7a+8bを有した右下葉肺癌の1切除例
鮫島 譲司伊藤 宏之中山 治彦西井 鉄平永島 琢也益田 宗孝
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キーワード: 肺癌, 肺動脈, 縦隔型下葉枝
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2017 年 31 巻 5 号 p. 684-688

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抄録

症例は77歳男性.血痰を主訴に受診し,肺癌が疑われた.術前の薄切CTでA7a+8bが右主肺動脈本幹背側,上幹肺動脈より末梢で分枝し,上肺静脈と下肺静脈の間を通り,中間気管支幹の縦隔側を走行してS7aとS8bに分布する解剖学的走行異常を認めた.主病変は右下葉の26 mm径の充実性結節であった.右下葉肺癌疑い(cT1cN0M0)に対し,右下葉切除+ND2a-1を施行.術中所見では分葉は良好で,中下葉間は電気メスのみで剥離でき,肺動脈の剥離も施行した.A6とA7b+8a+910が通常の葉間面の肺動脈から分枝し,A7a+8bは中葉気管支の背側から中下葉間を渡って下葉に流入していた.A7a+8bは中下葉間の高さで切離した.右肺動脈の縦隔型下葉枝は過去2例の報告のみと非常に稀であるため,解剖の詳細も含め報告する.

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