日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸腔鏡下に切除したgastrointestinal stromal tumor横隔膜転移の1例
山道 尭堀尾 裕俊浅川 文香奥井 将之原田 匡彦
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2017 年 31 巻 7 号 p. 916-920

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抄録

Gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)の横隔膜転移は稀であり,手術症例はさらに稀であるため検討が十分にされているとは言い難い.今回,原発巣切除後の十二指腸原発GIST横隔膜転移に対する手術症例を経験した.

64歳女性.左腹部の違和感,腹痛を主訴に前医を受診し,腹腔内に巨大腫瘤を指摘された.開腹生検にてgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断,イマチニブおよびスニチニブの投与により腫瘍縮小を認め,腫瘍とともに膵体尾部・脾・左副腎・小腸・横行結腸合併切除が行われた.術後3年目の画像所見にて肺転移もしくは横隔膜転移が疑われた.原発性肺癌も否定できず,増大傾向であり診断目的に胸腔鏡下右横隔膜部分切除術を施行され,永久組織診断にてGISTの横隔膜転移が示唆された.原発巣切除より5年0ヵ月,初回転移巣出現より18ヵ月無再発生存中で,比較的良好な生命予後が得られている.

GIST横隔膜転移に対しての治療法は,再発病変ととらえられ第一選択は分子標的治療による治療とされている.今回,単発横隔膜転移により発症したGISTに対して手術加療を行った症例を経験したため報告する.

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