2018 年 32 巻 1 号 p. 111-116
症例は38歳女性.発熱を主訴に近医を受診し,感染性肺囊胞と診断された.抗菌薬治療により軽快したが,短期間で感染を繰り返すため当科へ紹介となった.胸部CTでは右下葉に最大10 cmの多発する囊胞を認め,下肺静脈を取り囲んでいた.抗菌薬投与で感染を制御したのちに右下葉切除を施行した.経過良好であったが,術後2週間で遅発性肺瘻のため再入院となり,癒着療法により軽快した.病理組織診断にてCongenital cystic adenomatoid malformation(CCAM)と診断され,主病変と離れた箇所にも散在する小囊胞を認めた.成人CCAMの報告はまれで,囊胞が比較的広範囲に進展している可能性があり,切除に際して注意を要する.